卒業研究テーマ「()栃木県の市町村合併」

                    国際学部国際社会学科4年 坪井知子

 

はじめに

少子・高齢化社会、情報化社会、国際化社会が進展する中で、住民に身近なところで行政サービスを提供する基礎的な自治体として、市町村の役割が重要になってきている。地方分権の推進、住民の日常生活圏の拡大、住民のニーズの多様化、財政状況の悪化など、地方自治体は様々な問題を抱えている。このような現状において、地方自治体に求められるものは「行財政基盤の強化」であり、その一つの手段が市町村合併(市町村区域の拡大・見直し)であるといえる。つまり、市町村合併とは、いくつかの市町村が一つになって、効率的な行財政運営や広域的なまちづくりを行うことで、行政サービスの維持向上を図ろうとするものである。

一方、市町村合併の実現に向けて克服しなければならない課題も数多く、そのためには、中長期的な視野に立ち、的確な政策のもとに、行政と住民とが一体になって取り組む必要がある。特に、市町村合併による恩恵や弊害を直接受ける住民の視点からの取り組みは最も重要なところであり、そのための住民の合意形成を図ることは、必要不可欠であると考える。栃木県の市町村合併の動きを事例に、その課題や住民の視点から見た市町村合併について考えていきたい。

 

合併のメリット

 自治省が掲げている市町村合併のメリットについては下記のようなことがあげられる。

○広域的なまちづくりが可能になる

→都市計画、交通などの基盤整備を一体的に推進したり、産業の振興や商業・文化施設等の充実など計画的に行うことができるようになる。

○行政サービスの向上が期待できる

→小規模市町村では採用が困難だった専門職員(保健婦、社会福祉士など)の採用や専任の組織(女性施策、環境施策など)を置くことが可能になる。また市町村の枠にとらわれずに、最寄の行政サービス窓口をできるようになったり、公共の施設の利用や小・中学校区などについても、住民の利便性や生活の実態に即して設定できるようになる。

     行財政基盤の強化が図れる

→管理部門(総務、企画など)を中心とした組織の統合によって、職員をより住民に密着したサービスの提供を行う部門に充てることができ、また、従来各市町村に置かれていた三役、議員、委員会や審議会委員などの総数が減少することで、人件費など経費削減ができる。

     市町村の事務権限が拡大する。

→合併後の規模に応じて政令指定都市、中核市、特例市の指定を受けることや、市への移行が可能となり、自立性が高まる。政令指定都市になることでほぼ県並みの行財政権限を持つことができ、中核市、特例市についても一定の権限が委譲される。

 

 

合併に伴う弊害

合併すると地域の伝統や文化が失われてはいかないか

合併後には中心部だけがよくなり、周辺部が取り残されてしまうのではないか

合併後には行政機関が遠くなり、今よりの不便になるのではないか

市町村規模が大きくなれば、住民の声が行政に届きにくくなるのではないか

財政状況に差がある市町村の合併は、財政状況の良い市町村に不利にならないか

という不安の声が住民からあがっている事実もある。

*総務省合併相談コーナーhttp://www.soumu.go.jp/gapei/

 

おおまかにだが、市町村合併の概要について調べていくにつれ、「果たして市町村合併は必要なのか。なぜ市町村合併をする必要があるのだろうか。」という疑問につきあたった。政府があげている合併後のメリットの中には、合併をしなくても実現できるものも数多くあるような気がする。また、住民からの不安の声に関しても、政府はそれらに回答しているが、十分な答えを得ていない。多くの市町村が合併を決断し、新聞やテレビなどマスコミ等でもしきりに騒がれているが、実際は住民レベルで市町村合併が盛り上がっているようにも感じない。本当に市町村合併は必要なのだろうか。また、市町村合併を成功に導くために、問題点、必要なものはなんであるか、住民の立場から探っていきたい。

 

●高根沢町住民投票

宇都宮市と高根沢町が合併協かけ持ちへ、住民投票で
 栃木県高根沢町で18日、宇都宮市との法定合併協議会(法定協)設置の是非を問う住民投票が行われ、賛成票が過半数を上回った。宇都宮市議会は同町との法定協設置議案を可決しており、住民投票の結果を受けて両市町の法定協が設置されることになる しかし、すでに同町は南隣の芳賀町と、宇都宮市は隣接する上河内、河内、上三川の3町と法定協を設けており、今後は、両市町とも2またをかけて合併協議を行う異例の事態となる。
 同町では、昨年11月に合併に関する住民アンケートを実施。宇都宮市への編入が、芳賀町との合併を上回ったが、高根沢町は今年3月、県都への編入よりも隣町との対等合併を望む町議会の意向を受けて、芳賀町との間で法定協を設置。これに反発した町民らが同月、合併特例法に基づく住民発議で宇都宮市との法定協設置を直接請求、宇都宮市議会は設置議案を可決したものの、町議会は否決したため、町長が住民投票実施を決めた

●市町村合併の成功と失敗を問う(実際に市町村合併が行われる前と後で、行政サービスが向上したか、産業の振興など、様々な指標で比較)